企業の経営者、経理担当者は、自社の資金繰りの構造を理解する必要があります。
資金繰りの構造は、大きく3区分できます。
【1】営業収入−営業支出=差引営業収入の範囲で、借入金の返済や設備投資が可能な会社
老舗企業、優良企業に多く、約2割の中小企業がこのような無借金経営をされています。
【2】営業収入−営業支出=差引営業収入の範囲で、借入金の返済や設備投資が不可能な会社
日本の中小企業のほとんどがこのような会社に該当します。黒字決算、減価償却、売掛金回収、在庫圧縮と資金管理、銀行対策等々の財務的な知識と経営の先行管理が要求されます
財務の対策手順として、
(1)借入金の分解をする。
1.旧国金(日本政策金融公庫)融資枠と残高の確認から残融資枠を算定する
2.保証協会付き融資の一般枠と残高の確認と残高の確認から残融資枠を算定する。
3.保証協会付き融資のセフティネットと残高の確認と残高の確認から残融資枠を算定する。
4.銀行プロパー、無担保融資枠と残高から各銀行の残融資枠を算定する。
5.担保不動産の融資枠を確認しておく。
(2)最低2年程度の長期資金繰り表を作成して、各銀行に融資の額、時期をお願いしておくこと。
折り返し融資に応じてもらえない場合、条件変更で元金返済の減額をお願いする。今回の返済猶予法で、営業収支の範囲より借入金の返済額がはるかに多い会社は、返済額の減額に応じてもらいやすくなる可能性がある。
【3】一番問題なのは、営業収入−営業支出=差引営業収入が赤字の会社の場合です。
今回の世界同時不況の中で、赤字解消のメドの立たない会社が急激に増加しています。特に、広告業、求人関係、派遣会社等々き深刻です。
会社の規模の縮小、不採算部門からの撤退、人員縮小等々のリストラを推し進め、1円でもよいから営業収支を黒字化することが必要です。
どうしても無理なら、1日も早く廃業すべきです。赤字の垂れ流しは今以上に関係者に迷惑をかけてしまいます。
将棋の名人は150手先を読み、「投了」するそうです。賢明な経営者は倒産よりも廃業を選びます。